“2021年10月以降に販売される端末は、基本的にSimロックが解除された状態で販売されることになります。総務省はSimロックをなくすることで、大手キャリア3社のメインブランドの高額プランから、MVMOなどが提供する低価格の料金プランへと乗り換えるハードルが軽減され、通信料の低価格競争が一層促進されることを狙っています。しかしSimロックの原則禁止に関しては、メリットばかりではなくデメリットもあるのです。ここではSimロックの原則禁止において、ユーザーにおけるデメリットについてまとめてみましょう。
【Simロック原則禁止におけるデメリットとは?】
Simロックの原則禁止は、必ずしもすべての消費者のメリットになるとは限りません。ここではSimロックの原則禁止におけるデメリットについてまとめてみましょう。
<デメリット1.端末によって周波数帯が違うため、通信性能を発揮できなくなる可能性がある>
1つ目のデメリットは、スマホ端末によって対応する周波数帯(バンド)が違っているため、他社のSimに乗り換えることで、端末本来の通信性能を発揮できなくなる可能性があります。携帯4社に割り当てられている周波数帯は同じではなく、例えば同じプラチナバンドと呼ばれる帯域で比べても、NTTドコモの800MHz帯(バンド19)とKDDIの800MHz帯(バンド18)には違いがあります。またソフトバンクに割り当てられているのは900MHz帯(バンド8)であり、ドコモやKDDIとは別の帯域になります。
大手キャリアから販売されている端末は、iPhoneなど一部の端末を除くと、各キャリアが免許を持つバンドを使って快適に通信できるように設定されていることが多いです。そのため、他社の主要バンドをカバーしていないというケースが意外とあります。契約しているキャリアが使用しているバンドに、端末側のバンドが対応していないと、通信速度が遅くなる、特定の場所で通信ができなくなるなどの不具合が生じてしまうでしょう。つまり快適な通信ライフが送れなくなるということです。
携帯各社では、販売する端末の対応周波数帯をwebサイトに掲載するなどの対応をとっているものの、ユーザーがその知識を必ずしも持っているわけではありません。ユーザー側としては、Simロックがかかっていない端末で、今までとは異なるキャリアのSimを利用する際には、事前にそれらの情報を確認することが必要でしょう。
<デメリット2.Simロックを前提とした端末値引きそのものが規制されてしまい、スマホを安く購入できなくなる>
総務省がSimロックを原則禁止としたことで、Simロックを前提とした端末値引きそのものが規制されてしまいます。そのことで、これまでのようにスマホ端末を0円、1円など安く購入することができなくなるでしょう。Simロックがあっても、端末を安く買いたい!という人にとっては、このSimロックの原則禁止は、明らかに不利な市場環境となってしまうと言えます。
<デメリット3.スマホ端末の魅力低下につながる恐れがある>
また、Simロックを前提とした値引きが出来なくなったことで、キャリア各社が端末値引きで在庫を一掃するといった措置をとれなくなってしまいます。すると在庫リスクを恐れ、キャリアが調達する端末が売れ筋のものだけに偏ってしまったり、独自性のあるオリジナル端末のチャレンジが減少したりする可能性があります。スマホ端末の魅力低下につながる恐れがあるでしょう。
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